【終活】とは何か?なぜ終活がブームとなったのか、その背景についての考察

「終活」という言葉それ自体や「エンディングノート」など、生前整理を自分で行うことに対する認知は広まってきました。今でこそよく耳にする言葉ですが、実はここ十数年に出てきた概念だったのです。

目次

終活とは何か?

終活とは、一般に「自らの死を意識して、人生の最期を迎えるための様々な準備をする」ことを意味します。

自分の人生の終末のためにする活動のこと。…当初は自分の葬儀や墓について生前に準備することをさしたが、ことばが定着するにつれ、医療や介護についての要望、身辺整理、遺言、相続の準備なども含まれるようになった。

出典:コトバンク

終活(しゅうかつ)とは「人生の終わりのための活動」の略。

出典:Wikipedia

「親の終活」などと言いますが、意識したり行動するべき主体は「自分なのです。

「終活」という言葉が生まれた経緯

わたしの葬式自分のお墓―終活マニュアル2010 (週刊朝日MOOK)

終活という言葉が生み出されたきっかけは2009年頃の週刊誌であったと言われています。

その年の『2010 ユーキャン新語・流行語大賞』において、「終活」という言葉がノミネートされました。他にエントリーされた用語を見てみますと「無縁社会」「待機老人」など、人と人との関係が希薄となりつつあることの社会現象の一端として様々な関連用語が生み出された年であったことがわかります。

2010年頃に出てきた「終活」の概念は、当初、高齢の方々が後顧の憂いのないように、自身の葬式やお墓の準備をすることに焦点があたっていました。

その後、2011年3月11日東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生し、多くの方が災害によって突然亡くなったり、家が流されたりして、必ずしも死というものが高齢の方々だけでに起こるものではなく、ある日突然誰にでも起こりうるものだ、ということが広く認識されました。

ある日、突然、自分の生が終わってしまう…あっという間に「いつもの生活」がなくなってしまうことの可能性に、気づかされたのです。

終活とは?

終活として一般的にやるべきこと

概ね、「終活」として想定されているものは、以下の3つの分類に分けられます。

自身の死んだのことについての「自分の意思」について意思表示を生前に行っておく

用語が当初生まれたときの狭義の終活はこれにあたります。

  • 葬儀の準備
  • お墓の用意
  • 資産処理(相続)対策
  • あとに遺される者への処遇決定(遺言)

自身が生きていても「自分の意思」が完全に表示できないときのために意思表示を事前に行っておく

  • 介護
  • 終の棲家
  • 延命治療の方針(リビングウィル)
  • 自身の意思決定の代行者の選定など

リビングウィルとは…意思決定能力のあるうちに自分の末期医療の内容について希望すること

出典:コトバンク

リビングウィルとは…生前の意思という意味の英語の音訳。事前指示書ともいう

出典:Wikipedia

今のところ、リビングウィルとは末期医療についての意思表示として運用されているようですね。

自身の終末期のに身の回りのものを処分しやすいように整理しておく(生前整理)

上記1や2をおこなう前に、自身で対象となるものを把握しなければならないことから、必然的に生前整理も終活の対象となります。

公的な価値があるもの

  • 金融資産(現金・株式・債権・預貯金など)
  • 不動産(土地・建物)
  • 動産(貴金属・美術品・車など)

公的な価値はないが私的な価値のあるもの

  • 思い出の品(写真・手紙・日記など)
  • コレクション(趣味のもの)
  • パソコンやスマートフォンのデータ

今後問題となると思われるもの

  • WEBや動画などクラウド上のデータ(ブログやyoutubeなど)
  • サブスクリプション
  • 仮想通貨(ブロックチェーン技術を用いた資産)

サブスクリプションは料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用することができるもののことですが、携帯のアプリやパソコンソフトのライセンス、本・漫画・動画閲覧サービスの利用権など、便利である反面、何をどれだけ契約しているのかが把握しづらい問題があります。

また、現在注目をあつめている仮想通貨について、中央集権的な管理の通貨取引所を通じて取引を行っている場合はまだ良いとしても、中央集権的ではない取引所を通じて取引をする通貨が出現しています。

自分個人で分かっていたとしても、その人が亡くなった後に始末をつけづらいものというのは、今後より問題になってくるものと思われます。技術的なことは別として、個人としてできる対策は、何をどれだけ契約しているのか、自分以外の人にもわかるようにしておくことが先決でしょう。

<参考サイトへのリンク>故人サイトの専門家・デジタル遺品を考える会 古田雄介代表のホームページ

終活の一環の生前整理

終活がブームとなった背景

「終活」という言葉が生まれた経緯にあるように、概念としてはここ10数年のことになります。ブームとなった背景として考えられるものは以下のとおりです。

類を見ない超高齢化社会が進行している

下記のグラフに表れるように、日本の人口構造は安定的な「釣り鐘型」から少子高齢化の「つぼ型」に変化しています。

特に、日本で一番人口の多い世代である「団塊世代」の方々は、2007年から60歳になり、2012年から65歳になりました。65歳までの雇用継続義務が企業に課せられた中で、60歳に到達して正社員としての一線を退いた世代が65歳の完全リタイアを目前にして、あるいはリタイア後、自身のリタイアメント後の生活の在り方について検討を始めるのももっともなことです。

出所:総務省「国勢調査」及び「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)

少子化が進行している

世界的には人口が増えている一方で、日本国内では人口が減少しています。

合計特殊出生率とは「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」で、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当します。

子供は男女2人のペアで出来るものですから、2より下回った場合には基本的には人口減少の方向に進みます。図によるとおよそ1975年以降は安定的に2を下回っている状況にあります。

出典:令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える- 図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移

少子化をめぐる現状や要因については、内閣府の少子化社会白書が詳しいですので、興味のある方はご一読ください。

例えば、ひとりっこの男性と女性が結婚した場合、両親存命の場合は4名の人生の終焉を見届けることになりますが、現在は女性も働く時代、とてもではありませんがフルタイムで働きながら子供も養育しながら4人の高齢者の面倒を家庭内で見る余裕はありません。高齢の側も「面倒を見ろ」とはなかなか言いづらい現状があります。

自身の子供の迷惑にはならないようにしたい、といった親心も終活がブームとなった背景にあるように思います。

核家族化が進行している

下記の図に現れるように、単独世帯を含まない親族世帯の中で見ても、核家族世帯(夫婦のみ世帯、夫婦と子世帯、ひとり親と子世帯)の占める割合は一貫して増加しており、今後も増加を続けることが見込まれています。

出典:人口動態・家族のあり方等 社会構造の変化について – 総務省 「国土の長期展望」中間とりまとめ概要

ということは、高齢の単独世帯が続出し、面倒を見てくれる人は誰もいない、という状況に拍車がかかるということです。「自分の意識のはっきりしているうちに、身の回りを整理しておきたい」という気持ちが発生するのは当然のことと言えます。むしろ、「自分でなんとかしないと誰もなんとかしてくれない」という未来の状況は迫ってきているとも言えます。

まとめ

少子化、高齢化、核家族化が進む中で、「自らの死を意識して、人生の最期を迎えるための様々な準備をする」という終活をしていかないと子の就労や介護対応が難しい現状が見えてきました。

今後もますます終活という言葉や行動形態は、一般化すると思われます。

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